リーマンショックから学ぶ投資の教訓と現代のリスク管理
はじめに
2008年のリーマンショック以降、世界経済は度重なる変動に見舞われてきました。その中でも特に注目すべきは、リーマンショック時の急激な円高と株安、そして2024年の円安です。本記事では、これらの経済現象を振り返りつつ、今後の経済変動について予測し、どのように資産を守るべきかを考察します。
2008年の円高とリーマンショック
リーマンショックは、アメリカの個人向けローン(サブプライムローン)の証券化が引き金となり、返済不能が続出。これにより証券価値が低迷し、発行元であるリーマン・ブラザーズが破綻しました。この破綻が世界中に波及し、リスクオフの流れから世界同時株安が発生しました。
リーマンショックの主な影響
- 円高の進行:リスクオフの流れから、安全資産である円への投資が急増。これにより円高が急激に進行しました。実際、2008年9月のリーマンショック直後、円は1ドル=110円から1ドル=90円にまで上昇しました。
- 急激な株価下落(2008年後半):S&P 500指数は、2007年10月のピークから約57%の下落を記録し、2009年3月に底値をつけました。この期間、投資家のリスク回避の動きが顕著であり、株式からの資金流出が続きました。
2024年の円安とその背景
2024年には円安が進行しています。その主要因は、日本のNISA(少額投資非課税制度)による海外投資の推進です。毎月1兆円以上の円が海外に流出しており、為替介入すらその勢いを抑えきれない状況です。また、アメリカの経済発展により金利差が発生し、日本は取り残された状態にあります。
2023年にはNISA口座数が約1,300万口座に達しており、更に7月には新札が発行されますので、これまでタンスに眠っていた資産が市場に流れ込み、海外投資の加速が予測されます。
今後予測される経済変動
NISAや米国と日本の金利差の煽りを受け、引き続きドル高、株高が継続しておりますが、米国株価が過熱状況であるという見方もできます。株価が下がるときはいつも突然で急激なので、保有資産が米国株式に偏ったポートフォリオになっている場合は、過去の歴史に習い、次の恐慌に備えた資産保全を行うことも一つの選択肢ではないかと考えております。
シナリオ1: 金融市場のバブル崩壊
概要
- バブル形成: 株式市場や不動産市場などで急激な価格上昇が続き、投資家が過剰なリスクを取る。
- トリガーイベント: 突然の金利上昇、企業業績の悪化、大規模な不正会計の発覚などがトリガーとなり、市場が動揺する。
- パニック売り: 投資家が一斉に売りに走り、価格が急落する。
- 連鎖破綻: 銀行や金融機関が破綻し、信用収縮が発生する。
結果
- 大幅な株価下落
- 不動産価格の急落
- 金融機関の破綻
- 経済成長の停滞や後退
シナリオ2: 地政学的リスクの高まり
概要
- 国際紛争: 大国間の紛争や地域紛争が勃発し、貿易や投資の流れが大きく影響を受ける。
- エネルギー供給の不安定化: 中東などのエネルギー資源の主要生産地域での紛争により、原油価格が急騰し、世界経済に打撃を与える。
- 制裁と報復: 国際的な経済制裁や報復措置がエスカレートし、グローバルなサプライチェーンが混乱する。
結果
- エネルギー価格の急騰
- 貿易量の減少
- 世界経済の不確実性の増加
- 投資の停滞
シナリオ3: パンデミックの再発
概要
- 新型ウイルスの出現: 現在の医療体制では対応が難しい新型ウイルスが出現し、パンデミックが発生する。
- 経済活動の停止: 各国がロックダウンや移動制限を再び実施し、経済活動が停滞する。
- 供給チェーンの崩壊: 国際的な物流が大幅に遅延し、企業の生産活動が影響を受ける。
結果
- 失業率の急上昇
- 消費の急減
- 企業倒産の増加
- 経済成長の鈍化
シナリオ4: 金融政策の失敗
概要
- インフレの急上昇: 中央銀行がインフレ抑制に失敗し、物価が急騰する。
- 金利の急上昇: インフレを抑制するために急激な金利引き上げが行われるが、これが企業や個人の借入コストを増加させ、投資や消費を抑制する。
- デフレスパイラル: 過度な緊縮政策がデフレを引き起こし、経済成長が停滞する。
結果
- 物価の不安定化
- 企業の投資意欲の低下
- 消費者の購買力の低下
- 経済成長の停滞
シナリオ5: 気候変動による災害
概要
- 自然災害の頻発: 気候変動により、異常気象や自然災害が頻発し、インフラや経済活動が大きな被害を受ける。
- 食料供給の不安定化: 異常気象により農作物の生産が不安定になり、食料価格が急騰する。
- 移住の増加: 被災地からの移住者が増加し、社会的・経済的な混乱が発生する。
結果
- インフラの破壊
- 食料価格の上昇
- 経済活動の停滞
- 社会的混乱
Q&A
Q1: NISAとは何ですか?
A: NISA(少額投資非課税制度)は、日本国内で個人が少額の投資を行う際に、得られた利益に対して非課税となる制度です。様々な国やカテゴリーに投資することができますが、オールカントリーやSP500などの米国に偏った投資先に振り分けをしている人が多く見受けられます。
Q2: 円高と円安の違いは何ですか?
A: 円高は円の価値が上がり、他の通貨に対して円が強くなることを指します。一方、円安は円の価値が下がり、他の通貨に対して円が弱くなることを意味します。
まとめ
2008年のリーマンショック以降、世界経済は大きな変動を経験し、投資に対するネガティブなイメージが広がりました。しかし、15年以上経過し、投資環境が見直される中で、多くの新規投資家が市場に参入し、流行に身を任せた投資が急増しています。この現象は市場の過熱感を生み出し、再び「赤信号」が近づいている可能性があります。
リスク管理の基本はリスクオンとリスクオフのバランスを適切に取ることです。分散投資を通じて、異なる資産クラスに分散させることが重要です。また、投資先のリサーチを徹底し、市場の動向を常にチェックすることも不可欠です。経済環境の変化に柔軟に対応し、リスクを抑えながら安定した投資運用を心がけることが求められます。
※投資は自己責任です。あくまで個人的な見解となりますので、参考までにご覧くださいm(_ _)m